コラム「紙と生活」
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。
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こだわりの自主制作誌“ZINE(ジン)”の広がり
2013/05/17
2010年代に入って日本でじわじわと、しかし着実に広がりを見せる紙文化のニューフェイスに“ZINE(ジン)”の存在が挙げられます。 ZINEは自分の好きなテーマで作る数十ページ程度の小冊子の総称で、部数は多くが100部未満。製法も原稿をコピーしてホッチキス留めするなど、手軽なものが主流です。 採算は度外視で、作り手は編集・執筆に関係のない本業を持つ人も少なくありません。 出版社や取次など既存の出版流通網を通さずに直接、書店や雑貨屋やカフェに置かれて読者の手に渡ります。
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世界に一つだけの封筒 奥深い絵封筒の世界
2013/03/23
絵封筒とは封筒の宛名面を使って絵を描くアートのことです。 絵といっても水彩画のように描くものから、切り絵のように折り紙や布、リボンやテープなどを使ってコラージュするものまで、郵便物として発送できる範囲内で自由に表現することができます。
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通販ダンボールの進化、常識やぶりの色柄と新たな用途
2013/01/12
皆さんは宅配された荷物を受け取った後、梱包に使われたダンボールをどうしているでしょうか。 多くの人は資源ごみなどとして出し、自治体の回収に協力していることと思います。 何しろ、ダンボールは回収率がここ数年、90%台の後半で推移。 回収されたダンボールは古紙として輸出されたり、ダンボールまたはほかの用途に再利用されたりとリサイクルが進められています。 しかし一方で、ごみ捨て場に持っていく前にもう一働きしてもらう、という人もいます。 今回は、梱包用ダンボールの再利用と、それを見越した企業の取り組みについて、お伝えします。
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あえてアナログ こだわり年賀状
2012/12/01
年賀状の枚数は年々減少傾向にあるといいます。 日本郵政グループの発表によると、2012年1月1日に配達された年賀状は、前年比7.6%減の19億2500万通。 その背景には、インターネットの普及が考えられます。デジタルなEカードを年賀状として簡単に送ることができる時代です。 とはいうものの、年賀状の文化はしっかりと根付いており、年賀状がなくなるなんて考えにくいですね。 ある調査会社のアンケートよると、年賀状をハガキで送っている人は93.6%に対し、メールの人は42.1%。 その差は2倍以上です。
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エコペーパー+αの時代
2012/10/01
よく耳にする「エコペーパー」とは、具体的にはどんな紙のことをいうのでしょうか? 「古紙の利用率が高いもの」「製造過程でCO2の排出量が少ないもの」「紙を漂白する工程で有害な化学物質を使っていないもの」等々、条件を挙げるだけでもきりがなく、その内容はまちまちのようです。 ここでは再生紙や、普段は捨てるもの(間伐材、廃材など)を使ったもの、紙を作る過程で環境に配慮しているものなど全てを、大きくとらえて「エコペーパー」と考えることにします。
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思いを結び表現する水引
2012/07/11
水引とは、紙をひも状にした「こより」に糊を引いて乾かし固めたものをいいます。 結婚式のご祝儀袋を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 ではその歴史は…と言えば、驚くことに飛鳥時代まで遡ります。 遣隋使・小野妹子が帰朝の際、海路の無事を祈願した隋からの贈り物に紅白の麻紐が結ばれていたことが発端だそうです。
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業務用なのに「カワイイ」、ユーザーが育てたマスキングテープ
2012/06/29
製品の特定の箇所に、塗装などの加工を避けるために一時的に貼るマスキングテープ。 自動車の塗装や建築分野のシーリング、コーキング、エレクトロニクス分野のプリント基板上の回路保護などに使われる、れっきとした工業用品です。 ところが、この工業用品が今、アート好き女子などの間で人気を集めています。 いったい、マスキングテープのどんなところが人気を呼んでいるのでしょうか。 愛好家に話を聞いてみました。 開発者は3Mのエンジニア マスキングテープは1925年、米国で開発されました。 開発したのは、化学・電気材料メーカー、3M Companyの技術者だったRichard Gurley Drew氏。 ツートン・カラーの自動車の塗装工程において、2色の境界に貼って使うことを想定したものでした。 粘着力が弱く、剥がしやすいこと、剥がした後にのりが残らないこと、紙製のため手で簡単にちぎれること、作業用のメモなどを書き込めることなどが受け入れられ、さまざまな分野で使われるようになりました。
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紙で人がつながるイベント マガジンライブラリー
2012/06/20
アート・デザイン系雑誌が世界各国から集まる雑誌の祭典 マガジンライブラリーは、ファッションやライフスタイル、インテリアといったアート系の雑誌・紙媒体を世界中から集める展示・紹介・販売イベントです。 雑誌をはじめとした多彩なプリントカルチャーとの出会いの場として有名で、雑誌やジン(インディーズ誌)、製品や作品を通じて新しい交流が生まれています。 企画・プロデュースは、アート・ディレクターの藤本やすし氏(CAP)とダヴィッド・グアリノ氏(A Zillion Ideas)。 2009年の初開催以来、国内外でさまざまなイベントへの参加招待を受けて回を重ね、これまでに延べ5万人以上が来場したといいます。
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その歴史90年、ブックカバーという日本文化
2012/04/20
「日本の文化」と聞いて思い浮かべるものは何でしょう? 相撲、寿司、日本刀、盆栽、茶道。 あるいは、アニメやJ-POP、ゲームといったものでしょうか。 実は、こうした日本独自の文化の一つに、書店で本にかけてもらう「ブックカバー」も数えられます。 日頃、生活の中に溶け込んでいるブックカバー。使う人や提供する人はどんな意義を感じているのでしょうか。 広告メディアとしてのブックカバー ブックカバーの全国的な同好会である「書皮友好協会」によると、ブックカバーの歴史は大正時代までさかのぼることができるようです
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人と人をつなぐ紙 レシートの新しい可能性
2012/04/18
台湾へ旅行にいった知人の話を聞いて驚きました。 なんと台湾のレシートは「くじ」になっているそうです。 スーパーで買い物をしてもらう細長いレシートは「統一發票」と言われ、8桁の数字が印刷してあります。 その番号が宝くじ(レシートくじ)になっているのです。 特等は200万元(約2600万円・2012.4現在)とか。 特等の下には1等20万元(約260万)から6等200元(約2600円)までが続きます。 買った物が少なくても、台湾のレシートは日本に比べて少し長め。 それもそのはず、裏面には、抽選日、換金場所、住所・氏名・電話番号の記入欄等、くじに対する注意書きが書かれているからだそうです。
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エシカルな紙パッケージにみる企業の取り組み
2012/01/20
『倫理的な・道徳上の』という意の『エシカル(Ethical)』。 社会の役に立っているか、良識にかなう形で生産・流通しているかがポイントです。 前回はショッピング紙袋からエシカルを探りました。今回は紙パッケージからエシカルを考えます。 私たちからみて、チャリティや自然保護活動、発展途上国への支援や女性の地位向上、物を大切にするエコ活動等はエシカル活動と考えられます。 身近な例として、環境に配慮した商品を積極的に購入したり、フェアトレード商品を選んだり…。 単に消費するのではなく、社会的な問題も踏まえた行動です。
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用途さまざま、実は便利な寒中見舞い
2011/12/26
季節の挨拶状である寒中見舞い。 厳寒期に相手の健康を気遣うという本来の意味に加えて、こちらが年賀状を出さなかった相手からもらった年賀状への返事、喪中にもらった年賀状への返事、喪中の人への挨拶など、今ではさまざまな意味合いで活用されているようです。 大人になると、もう何年も会っていないけれど、年賀状は欠かさず交換しているという間柄の相手がちらほら出てくるものだと思います。 何らかの事情で年賀状が出せなかったときの強い味方、寒中見舞いを利用して、年に一度、ハガキで旧交を温めてみませんか? 時期はちょうど年賀状と入れ替わり 寒中見舞いを出すのに適当な時期は、二十四節気でいう小寒(1月5日ごろ)から大寒(1月20日ごろ)を通して立春(2月4日ごろ)まで。 年賀状が松の内(1月1日から7日まで。本来は15日まで)ですから、出せなかった年賀状のフォローには良いタイミングですよね。 さらに立春から2月末ごろまでは、余寒見舞いを出すこともできます。
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アジア発 お金を贈り物に変えるのし袋
2011/12/22
「のし袋」といえば、日本ではお祝い事に欠かせないものです。 これは他のアジアの地域にも共通しているようです。 ただ日本と違うのは袋の色。 日本は「おめでたい=紅白」ですが、中国、台湾、香港、シンガポール等で慶事に使われるのし袋は赤が主流。 結婚式等には中華系の人々の間では「紅包(Hong Bao)」や「利是(Lei Si)」と言われる赤い袋が使われています。 このほかイスラム教徒が多いマレー系は緑色ののし袋が、韓国ではシンプルな白い封筒が一般的とか。 のし袋の文化にも若干の違いはあるようですが、アジア圏では盛んに行われている習慣です。 欧米ではお金ではなくギフトを贈ることが主流だからでしょうか?のし袋は「アジア独特の文化」の一つなのかもしれません。
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ショッピング紙袋にみるエシカルな流れ
2011/12/19
「エシカル」…、この概念を早くから採り入れたのはファッション業界です。 それはオーガニックなど素材の選定に始まり、途上国での買い付け、フェアトレードによる流通などの活動に代表されます。 このファッション業界と切り離せないのがショッピングバック。 お店にとってショッピングバッグはそのブランドを表現したもの。 それだけにどんな紙素材が使われているかも重要になってきます。
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過去・現代…その時代を映し出す鏡・年賀状
2011/11/08
一年の始まりを告げる年賀状。 日本人のお正月にはなくてはならない存在です。 ではこの年賀状を送るという習慣はいつごろから始まったのでしょうか? 大化の改新(645年)以降、伝令書を届ける制度が整えられたことから考えると、7世紀後半に年賀状のやりとりがあったのでは…と推測されます。 ただ残念なことに、いつ・誰によって年賀状が始まったのか、歴史的な文献は残っていません。
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挨拶状でありアピールにもなる、企業のグリーティングカード
2011/10/21
日本で冬のあいさつ状といえば、なんといっても年賀状ですが、クリスマスカードも徐々に利用者が増えているといいます。 この傾向、実は企業も同様で、小売店から大手企業まで、さまざまな業種で利用が拡大しています。 ダイレクトメールとは違った位置づけになるので、顧客を大切にする気持ちを表すのに適したツールなのかもしれません。 また、年賀状が大量に届く時期よりも少し前に送ることで、受け取った人の心に印象を残そうという思いがあるようです。 販売促進やブランド周知に 東京・大阪に店舗を構える手紙用品店ウイングド・ウィールによれば、企業の冬のグリーティングカードの発注傾向は、大きく2つに分けられるといいます。
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華やかな季節に心届けるインテリア~冬のグリーティング
2011/10/07
12月になると、海外の友人からクリスマスカードが届きます。 日本では『冬のカード=クリスマスカード』のイメージが強いようですが、海外では少し異なるようです。 『Merry Christmas!』という文字を全面に打ち出したカードは宗教色が強いこともあり、特に長い移民の歴史があるアメリカでは『Happy Holidays!(すてきな休日を!)』や『Season’s Greetings(季節のご挨拶)』といったものがポピュラー。 キリスト教だけでなく、どんな宗教であっても失礼にあたらないからです。 このためアメリカのグリーティングカード用切手は、「イエス様・マリア様」と「季節のモチーフ」というように、宗教に配慮して2種類作られているようです。 そう考えると、最初はクリスマスカードが発端であったものの、文言を『Happy Holidays!』とすることで、幅広い人々の間でのカード交換が可能になり、冬のカードが慣習化したと考えられます。 ちなみに、日本でも冬のグリーティング切手が発行されており、こちらもクリスマスを意識したものと、季節のデザインなど数種類があるようです。
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喪中ハガキも個性の時代!?
2011/10/06
今年六月に祖父が永眠致しましたため 新年のご挨拶を申し上げるべきところ 喪中につきご遠慮申し上げます このような文章がプリントされたハガキを小学生の冬、同級生から受け取った覚えがあります。 小学生のころはクラスメートと毎日顔を合わせていて、手紙のやりとりは年賀状くらい。 その内容といったら「おモチを食べすぎないようにね!」などというレベルのものでした。
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ファーストステップとしての結婚式招待状
2011/09/27
今年4月に世界が注目した、英国ウィリアム王子とケイト・ミドルトンさんの結婚式(ロイヤルウェディング)の招待状は、1900人に送られたと言われています。 招待状は、王冠とエリザベス女王を示すEとRの文字が金色で刻印された、シンプルな中にも気品のあるデザイン。 まさに、ロイヤルウエディングらしい格式ある招待状でした。 さて、それでは視点を日本に移しましょう。 結婚式の招待状ですが、日本での歴史はさほど古くなく、大正時代から始まったと言われています。 おもしろいことに、その昔、招待状の差出人は「新郎側の父親」だったとか。 これには「結婚は家と家との結びつきである」という昔ながらの考え方が深く係わっているような気がします。 その後、両家の親の名前(連名)で出す招待状が一般的となり、現在では、本人、または両親との連名で出すスタイルに変化しつつあるようです。
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旅先からの手紙~真心を贈る楽しみ~
2011/09/06
この夏、各地へ旅行に行かれた方も多いのではないでしょうか。 旅先の土産物店などでよく目にするものと言えば、観光絵はがきです。 その土地ならではの美しい風景の写真や水彩画風のもの、押し花はがきまで種類も豊富ですね。 一枚一枚をじっくり見ていると、誰かに出す宛てが無くてもつい欲しくなってしまいます。