エコペーパー+αの時代
2012/10/01
間伐材や廃材利用、再生紙とうたった紙、いわゆる「エコペーパー」が注目されつつあります。その活動をアピールするマークもあらゆる印刷物に表示されるようになってきました。最近では、そのエコロジーさに加えて付加価値をアピールする紙も登場。
今回は、エコペーパーのこれまでの動きとこれからを考察します。
エコペーパーってどんな紙?
よく耳にする「エコペーパー」とは、具体的にはどんな紙のことをいうのでしょうか?
「古紙の利用率が高いもの」「製造過程でCO2の排出量が少ないもの」「紙を漂白する工程で有害な化学物質を使っていないもの」等々、条件を挙げるだけでもきりがなく、その内容はまちまちのようです。
ここでは再生紙や、普段は捨てるもの(間伐材、廃材など)を使ったもの、紙を作る過程で環境に配慮しているものなど全てを、大きくとらえて「エコペーパー」と考えることにします。
近年、エコペーパーは日常生活の中にしっかりと根付いたエコロジーな取り組みになりました。
大手スーパーでは牛乳パック回収のボックスが置かれていますね。
また小学校によっては、新聞紙などの古紙を回収したものを収入として、PTA活動に役立てているそうです。
このようなことは、日常生活にエコ活動が浸透してきた証拠。これらの牛乳パックや古紙は、エコペーパー等になり再利用されています。
もちろん企業にとってもエコ活動は重要です。
多くの会社が、名刺などに再生紙を利用し環境に配慮し、そのことをアピールしています。
大量消費から必要消費の時代へ
エコペーパーへの意識の高まりとともに生産量も徐々にふえていますが、どうしてエコが重視されるようになったか、時代背景から考えてみます。
木材パルプの紙は、19世紀産業革命の時代に生まれ社会に不可欠な存在として大量消費されてきました。
20世紀後半になり世界規模での環境破壊が問題になり、環境配慮への意識が高まります。
日本でも2000年には3R運動(Reduce、Recycle、Reuse)や、LOHASといったライフスタイルの紹介など、経済と環境を両立させる循環型社会が注目されるようになります。
加えて2001年4月に施行されたグリーン購入法により、エコ商品がさらに広がりました。
「グリーン購入」とは、製品を購入する時に環境を考慮し必要性を考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することです。
この法律では、国や地方公共団体、企業、そして国民にもグリーン購入を義務づけています。
このグリーン購入法により「エコ活動をPRできる紙」が注目され、数多くの企業が名刺や社用封筒等にエコマークを入れて社会へアピールするようになりました。
そして現在、企業としては単なるエコペーパーを使っていたのではエコの差別化が図れなくなりました。
ゆえに「エコ+α」で付加価値をついた新しいエコペーパーの時代へと流れつつある…。
現在はまさにエコペーパー過渡期と言えるでしょう。
竹や種…さまざまなエコペーパー
ではここでエコ+αのエコペーパーを手掛けている企業をご紹介します。
中越パルプ工業株式会社では、放置竹林の整備やタケノコの生産性をあげるために間伐された竹を利用し、「竹紙」を開発。
ノート等の商品化のほか、エコ関連イベントにも積極的に参加するなど、本業を通じた社会貢献を行っています。
同社では、竹を年間2万トン以上買い取っており、環境保全だけではなく、地域経済や地域雇用への貢献も評価されています。
「竹紙に共感してくれる方はとても多くいらっしゃいます。
しかし自社だけの力ではなかなか広がりません。
理解者の応援が必要です。
最近では、社名と竹紙の取り組みを、イベントの中で紹介してくれるケースが増えています」(同社営業管理本部・営業企画部の西村修部長)
同社では間伐材の取り組みとして、ルイヴィトン社、野外音楽祭のフジロックフェスティバル、坂本龍一代表の森林保全団体・モアトゥリーズ等とのコラボを行うなど、精力的な活動を行っています。
今後も企業にとってそのエコペーパーの価値を理解してくれる人を増やすことが、購入層拡大へとつながるのではないでしょうか。
別のエコペーパーもご紹介しましょう。
ゾウのうんちからつくる「ぞうさんペーパー」を販売し、この紙を使ったノート等を商品化している企業もあります。
目のつけどころがとてもユニークですね。
また、琵琶湖の葦(よし)を利用した紙を商品開発した企業もあります。
葦は、水を浄化だけではなく、水鳥や魚の棲息地を保護する働きもありますので、葦の活用が琵琶湖の環境保護意識を高めることに貢献するのです。
この製品は、売上の0.2%を葦関連のNPO協賛にあてています。
さらに面白いエコペーパーを発見しました。
再生紙に花の種をいれた「シードペーパー」です。
アメリカから輸入され、日本でも徐々に扱う企業が増えました。
「シードペーパー」は、水に浸して蒔くという楽しみもあり、イベントの販促品等に使われています。
フェアトレードの紙も忘れてはいけません。
ネパールなど発展途上国で作られる環境に優しい手漉き紙を、フェアな価格で販売している企業も数多くあります。
エコ+αな紙で豊かな生活を
このように、単なるエコな紙ではなく、エコ+αの紙が求められる現代。
エコペーパーを提供する側も、+αの付加価値をつけるために様々なアイデアを出し、いろいろなアプローチで、新しいエコペーパーを開発していくことでしょう。
そうなると、楽しく豊かなエコペーパーの時代がやってきそうですね。
何だか胸がワクワクしてきます。
羽車企画広報部編集
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ご協力いただいた企業:
中越パルプ工業株式会社 http://www.chuetsu-pulp.co.jp/eco/new.htm