挨拶状でありアピールにもなる、企業のグリーティングカード
2011/10/21
華やかな季節を彩る冬のグリーティングカードをご存知でしょうか。日本ではクリスマスカードという言葉の方がなじみ深いと思います。実は、日本で広まっているクリスマスカードは、厳密にいえば冬のグリーティングカードの中の一つ。今回は、日本ではまだまだ知られていない「冬のグリーティングカード」について、二回に分けてとりあげます。第二回目は、企業のグリーティングカードについて考えてみたいと思います。
日本で冬のあいさつ状といえば、なんといっても年賀状ですが、クリスマスカードも徐々に利用者が増えているといいます。 この傾向、実は企業も同様で、小売店から大手企業まで、さまざまな業種で利用が拡大しています。 ダイレクトメールとは違った位置づけになるので、顧客を大切にする気持ちを表すのに適したツールなのかもしれません。 また、年賀状が大量に届く時期よりも少し前に送ることで、受け取った人の心に印象を残そうという思いがあるようです。 販売促進やブランド周知に 東京・大阪に店舗を構える手紙用品店ウイングド・ウィールによれば、企業の冬のグリーティングカードの発注傾向は、大きく2つに分けられるといいます。 1つは、既製のデザイン・カードを利用し、印刷内容にはセールの情報や年末年始休暇の案内などを盛り込んだもの。 美容院やアパレル関係などの小売店が個人顧客に送る場合は、このパターンが多いようです。 日頃、お付き合いのあるお客様に年末年始のあいさつをしながら、販売促進にもつなげようという考え方です。
もう1つは、無地のカードと封筒を利用し、オリジナルのデザインをデータ入稿して印刷するパターン。
デザイン部門を抱えるような大手企業が取引先に送る場合はこちらのパターンが多いと聞きます(また、デザイン事務所などは規模の大小に関わらず、本業のアピールにもなるので、独自のデザインで作成するのが通例だとか)。
こちらは、カードを通じて、企業やブランドのイメージを向上させることが目的になります。
GoogleやLucasfilmの演出
後者は、デザインやメッセージで個性を表現すること自体が目的のようなところがあるので、受け取った人たちの間で話題に上りやすいのも特徴です。
たとえば、インターネット検索で世界最大手のGoogle。
同社は2005年から2007年にかけて、広告配信サービス「Google AdSense」の利用者などに冬のグリーティングカードを送っていました。
同社のロゴや雪の結晶がエンボス加工であしらわれたデザインも好評でしたが、二つ折りのカードを開くと、「来年が良い年になりますように!」とのメッセージが世界中の言葉で書かれていて、その世界シェアNo.1企業らしい自信と心配りに、多くの人が感心しました。
映画製作会社Lucasfilmのグリーティングカードも有名。
こちらは関係者や従業員に送られるもので、30年も前から続く同社の伝統です。
毎年、映画『スター・ウォーズ』シリーズのキャラクターが雪景色に遊ぶ様子などが、茶目っ気たっぷりに描かれています。
こんなカードを受け取ったら、スタッフは自分の会社がよりいっそう誇らしくなりそうですよね。
優秀なスタッフが会社にますます愛着を持ってくれたら、これもやはりブランド力のアップにつながるのではないでしょうか。
日本企業がこうしたグリーティングカードで注目を集めた例は、残念ながら、あまり聞きません。
逆にいえば、「エイプリル・フールの企画なら円谷プロ」といった具合に、「グリーティングカードといえば○○」という伝説(?)をこれから作れる可能性が大きく広がっているともいえます。
気の利いたグリーティングカードでみんなを和ませてくれる企業が現れるのを、楽しみに待ちたいところです。
注意すべき「クリスマス」の扱い
企業の規模や事業内容によって、グリーティングカードの使い方が変わってくるのは上述の通りですが、小売店であれ大企業であれ、「クリスマス」の考え方には留意しておいたほうがいいかもしれません。
前回コラムでもお伝えしましたが、世界有数の多民族国家である米国では、クリスマスカードを送ることに慎重になっている人が多いそうです。
キリスト教以外の宗教を信仰する人への配慮からだそうで、「Merry Christmas!」のかわりに「Season’s Greetings」「Happy Holidays!」といった表現が主流になりつつあります。
日本では事情が異なり、クリスマスは宗教から離れた冬のイベントと捉えられがちですが、海外へ送る場合には気を配る必要があるでしょうし、国内向けであっても配慮してしすぎることはないでしょう。
オススメは定形外
ウイングド・ウィールによると、企業の冬のグリーティングカードの売れ筋は、質感の良いコットン素材の白や、生成り系、濃色(特にミッドナイトブルー)のカードだといいます。
加工は活版印刷や箔押しが中心とのこと。
今年は大きな災害に見舞われたこともあり、企業としては、あまり華やかすぎるグリーティングカードには抵抗があるかもしれません。
しかし、色や加工を派手にしなくても、さりげなく存在感をアピールしたり、手紙という方法で少しのあたたかさを伝えられるように思います。
たとえば定形外のカードなら、見た目がシックでも印象に残りやすいのではないでしょうか。
発送も、宅配サービス業各社のメール便を利用すれば、定形外郵便料金より安価になるケースが多いので、上手に利用したいですね。
こんな年だからこそ、「来年を良い年にしましょう」というメッセージを発信することに意義があるように思います。
寒い冬をぜひ、心温かく過ごしたいものです。
羽車企画広報部編集
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