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手紙文化と共に発展した切手の歴史・日本編(前編)

2020/07/17

  • 切手

コレクターが多く価値も高い、魅力的なデザインばかりの切手。
手紙を送る際に欠かせない切手ですが、どのように生まれたのでしょう。奥深い切手の歴史に迫ります。

手紙文化と共に発展した切手の歴史・日本編(前編)

画像上:切手制度が始まった頃の浮世絵 小林清親 「駿河町雪」 (1879)

古くから手紙を送る習慣があった日本。戦国時代には家臣が使者となって手紙を届けており、江戸時代には飛脚制度が登場しました。
しかし、当時は切手という制度はありませんでした。
政府文書の送達には月1,500両ものお金がかかっており、このことから郵便は事業化できると判断され、東京・大阪間で郵便事業制度が開始されました。

手紙に切手を貼るようになったのは、明治が始まったばかりの1871年3月1日。新暦では4月20日のことです。
最初は48文、100文、200文、500文といった4種類の切手が発行されました。
現代においても毎年4月20日は「郵政記念日」とされ、全国の郵便局で記念行事が行われています。

手紙文化と共に発展した切手の歴史・日本編(前編)

画像上:なじみがある赤いポストは、1901年頃に登場した。

郵便制度は、政治家として活動していた前島密(まえじまひそか)により創設されました。前島は、海外に視察へ行き、海外ですでに導入されていた郵便制度に触れます。 そこで、切手が使われていることを知り、明治政府に郵便制度が必要だと提言したといわれています。

手紙文化と共に発展した切手の歴史・日本編(前編)

画像上:前島密は1円切手の肖像で知られている。

「切手」をはじめ、「郵便」「葉書」も、名付け親は前島です。150年近く使われている「切手」という名はどのようについたのでしょう。
切手は「切符手形」を短縮したものとされています。切符手形とは、お金を払って得た小さな紙片のこと。電車に乗る際に必要になる「切符」も、切符手形を短縮し、名づけられた名称です。

前島は「日本近代郵便の父」と呼ばれ、今もなお1円切手の肖像で広く知られています。
郵便制度についての功績が有名ですが、いち早く英語や数学を学んだ人物であることも忘れてはなりません。
1866年には「漢字御廃止之議」を当時の将軍だった徳川慶喜に提出。この建議書において難しい漢字の使用をやめるべきと提言し、その後も国語調査委員として日本の国語文化に貢献し続けました。このほか、鉄道敷設の立案や盲学校の設立、電話制度の開始など、幅広い分野で功績を残しています。

手紙文化と共に発展した切手の歴史・日本編(前編)

画像上:日本初の切手「龍門切手」は4種類

さまざまな功績を残した前島密により生まれた切手ですが、日本で初めて発行された切手は、1シートに40枚が印刷されていました。
しかし、当時1つの絵柄を複製する技術はなかったため、手作業で1枚分ずつ彫り複製版を作成し、そのうえで印刷されていました。
紙は和紙が使用されていたため、現在の切手にある「目打ち」と呼ばれる周囲のギザギザはありません。
また、裏のりや国名表記がなく、大きさは1辺が19.5㎜の正方形と、その後、日本で発行された切手と比べてももっとも小さいサイズでした。

長い歴史がある切手ですが、現在、普通切手は全部で23種類あります。もっとも少額なのは前島密の肖像が描かれた1円切手。
最も高額なものは1,000円切手で、富士山の図柄です。
普通切手以外にもイベントや記念日には記念切手も発行されているため、定期的にチェックすると珍しい図柄の切手に出会えるかもしれません。
後編では世界の切手について、その魅力をご紹介します。



文・滝沢紘子

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取材協力:切手の博物館

参考文献:
『切手もの知りBOOK』切手の博物館 主任学芸員 田辺龍太著

切手に隠された女王の横顔の秘密・世界編(後編)

 

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