第19回 紙ブラック×印刷色ブラック
モニター結果発表
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今回の企画内容
今回の研究では、紙の色と同系色の印刷色でどのような表現ができるかを検証します。
今回のテーマはブラックです。 真っ黒なボード紙ブラックに、印刷色ブラックで印刷を行います。
同系色の印刷は、さりげなく表現したい場合などに効果的ですが、内容によってはわかりづらいこともあります。光の当たり具合や見る角度、またデザインによって、どのような表現ができるか検証していきたいと思います。(上の画像について)
紙:ボード紙 ブラック 464g
こうもりのベタ部分:オフセット印刷1色 印刷色ブラック
こうもりの線部分:活版印刷1色 印刷色ブラック
※今回募集する企画では、オフセット印刷と活版印刷を組み合わせることはいたしません。
同じデザインを異なる印刷方法で2種類(オフセット印刷/活版印刷)作成しますので印刷方法による違いも見ていただけます。
それでは、今回モニターになっていただいた3名の方の作品を紹介します。 -
モニター 東京カートグラフィック株式会社 ブランド2課様の作品
【東京カートグラフィック株式会社 ブランド2課様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
黒い色(黒い紙と黒いインク)だけしか使わない「くろだけ(黒だけ)」と山の名称「くろだけ(黒岳または黒嶽)」をかけた言葉遊びです。
「黒い紙に黒いインクで印刷する」という意味を最大限活かしたデザインです。
「今まで誰も見たことのないもの」、「これをきっかけに地図や山、当社に興味を持ってもらう」をうまく表すことができたと思います。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
活版でない方はとくに見えづらいようです。 活版の方は右下と左上の圧の差が少し気になりますが、意図があってそうしていただいたのでしょうか。
地図は細かい表記が多くなるので難しいかなと思いますが、デザインと仕様のマッチングはとてもおもしろく、視認性をもう少し高めた品にしたいと考えています。ただ、見えにくいので一生懸命角度を変えて見るという様も面白いな…とは思いました。
また、スマホのカメラでモノクロにして撮影すると、角度によってはキレイに光って肉眼よりも見えやすくなるという発見をしました。
《今回のカードの使い方》
ブランド 2課で出店しているハンドメイドショップminneとcreemaで期間限定プレゼントにしています。
また、おもしろい企画ができるという当社のアピールツールとして使用しています。
【スタッフからのコメント】
「くろだけ」のデザインコンセプトが面白く、遊び心とセンスを感じる作品です。
ご提供いただいたスマホのカメラでの画像は、目で見るよりかなりはっきりとデザインをとらえていて驚きました。
活版の圧は、ベタ面の面積の違いによって差が出やすくなります。
右下はベタ面が広範囲なため圧が分散して圧がかかりにくく、左上はベタ面が少ないため圧がかかりやすくなっています。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター ビオレッティ・アレッサンドロ様の作品
【ビオレッティ・アレッサンドロ様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
ストリートダンスをイメージしてイラストを描きました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
実際には光で反射しない限りあんまり目立たない印刷なのでミステリー感があると思いました。
使い方によって、面白い印刷方法ではないかなと思います。個人的に活版の方が好みでした。
《今回のカードの使い方》
クライアントにお送りできたらいいなと思います。
【スタッフからのコメント】
イラストがカードいっぱいにデザインされた作品です。
このイラスト作品の塗りと線のバランスから、活版の方が少し視認性が高く印象的に感じました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター 月原光夫様の作品
【月原光夫様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
黒×黒ということで、
夜空の黒の中に確かに存在する黒い月、
新月を表現してみました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
オフセット、活版ともに思っていたよりも黒の差が出づらいように思いました。
とくにディテールをしっかり見せるのは難しいように思いました。
《今回のカードの使い方》
お会いする方や取引先にお渡ししようと思っています。
【スタッフからのコメント】
夜空の黒の中に存在する黒い月とのことで、光の当たる角度によって月が少し明るく見えたり、逆に沈んで見えたりと、印象的な作品でした。
月の中に何があるのか捉えたいけれどよく見えないので、神秘的にも感じました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター 横山郁海様の作品
【横山郁海様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
ハロウィンが近いこともあり、狼男とコウモリをモチーフに選び夜な夜な開催される秘密のパーティの招待状を制作しました。
印刷された鉛筆画のビジュアルは、光の角度次第で姿を現します。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
台紙の厚みや質感により、重厚感のある配布物となりました。
黒色の用紙のインパクトが絶大で、とくに活版側は高級感とダイナミックさを兼ね備えたものになりました。
ぱっと見てわかりやすいのは活版印刷のカードですが、オフセットも非常に控えめで上品な仕上がりです。
今回はデータをパス化して用意しましたが、鉛筆のような光沢表現ができることもわかりました。
《今回のカードの使い方》
会社の方や知人に配布しましたが、インパクトが大きく好評でした。
本当にパーティを開催しないのかといろいろな方に聞かれました。
【スタッフからのコメント】
秘密のパーティの招待状とのことで、ミステリアスな内容と紙と印刷がマッチした作品だと思いました。
印刷の凹凸感が加わる活版印刷の方がより一層神秘的に感じました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
スタッフより
紙ブラック×印刷色ブラックをテーマに、4つのモニター作品を2種類の印刷方法で仕上げました。
オフセット印刷より活版印刷の方が印刷部分に凹みが出る分、よりデザインの視認性が上がったように思いました。
ぱっと見た時は印刷内容がわかりませんが、カードを手にとって光の当たる角度を探すと、内容が見えたり見えなくなったり。
手にした方に、1つのきっかけや行動が生まれる紙と印刷の組み合わせだと思いました。
そういった点でも、今回モニターに応募くださった方々のデザインコンセプトがとても面白かったです。
今回の企画にご応募いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。