第17回 カードへの活版印刷×ロウ引き加工
モニター結果発表
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今回の企画内容
今回は厚みのあるカードへの活版印刷×ロウ引き加工について研究します。
普段あまりロウ引き加工をすることのない厚口のカードがどのように変化するのか、活版の凹みにロウがどのような影響を与えるのかを検証します。(上の画像について)
紙:ボード紙 グレー 450g
左:活版2色印刷(ダークグレイ・ホワイト)
右:活版2色印刷(ダークグレイ・ホワイト)+ロウ引き加工
それでは、今回モニターになっていただいた3名の方の作品を紹介します。 -
モニター 中嶋美香子様の作品
紙 :ボード紙グレー 450g
印刷 :活版2色印刷
印刷色:グレイッシュブルー・ダークブラウン
※右がロウ引き加工後【中嶋美香子様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
古くからの商店街に溶け込むような場所を作っていきたいので、デザインにもその思いを込め見える景色をそのまま利用しました。外壁に近い質感のグレーボード紙をセレクト。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
薄い紙の様に透けた感じにはならないですが、少し濡れたような艶のある表面になりました。
凸凹のある厚口ボード紙にさらに凹凸のでる活版印刷、それによってロウの浸透の差も出て(もやもやとした模様のようになる)かなり存在感のあるカードに。
《今回のカードの使い方》
自宅兼デザイン事務所の完成をお知らせする挨拶状として、お得意様やお世話になっている皆さまにお送りします。名刺も同封して封書の予定でしたが、インパクトを生かしたいのでこのままでの郵送もしたくなりました。
【スタッフからのコメント】
ロウ引き後は、グレイッシュブルーがぐっと落ち着いた色になりました。ボード紙グレーが外壁に近い感じとのことで、ロウ引き前/後で紙の色や質感が変わる様子が、商店街の朝と夕暮れを見ているような気持ちになりました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター 寺谷 有加様の作品
紙 :ボード紙グレー 450g
印刷 :活版2色印刷
印刷色:ブラック・イエローゴールド
※上がロウ引き加工後【寺谷 有加様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
結婚式のブーケやヘッドドレスなどをドライフラワーなどの植物を使ってオーダー制作する弊社のイメージをイラストでわかりやすく表現していただきました。 植物の繊細な雰囲気を出したかったので、線も細く手描きで描いていただきました。 かわいらしい雰囲気ではなく、大人っぽさを大切にしました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
紙の厚み、重厚感に印刷された雰囲気がとても合っていて弊社の雰囲気にとてもマッチしています。
紙の色をしっかり選ぶ事で雰囲気を楽しめるものなのかなと感じました。
《今回のカードの使い方》
イベント時のディスプレイや、オーダーくださったお客さまへの同梱するお手紙として、また今後ラッピングなどで特別な仕様として使えるといいかなと思っています。
【スタッフからのコメント】
実際のディスプレイ写真を送っていただきありがとうございました。
紙にロウ引き加工をすると、加工していない紙とは違い奥行のある質感になるため、ディスプレイ全体がとても魅力的に感じました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター 柏岡一樹(Hallelujah D)様の作品
紙 :ボード紙 グレー 450g
印刷 :活版2色印刷
印刷色:グレイッシュブルー・パープル
※右がロウ引き加工後【柏岡一樹(Hallelujah D)様からの感想】
Design:柏岡一樹(Hallelujah D)
Illustration:針
《今回のデザインのコンセプト》
アーティストのポストカードを作りました。
研究ということなので活版がロウ引き加工でどのように変化し、手描きイラストの細い線がどのように出るのか、 グレイッシュブルーがロウ引き加工でどのように浮き出てくるか、パープルのベタが活版とロウ引きによってどう変わってくるか、ステッチ風パターンがどう見えるか、などを確認できるものになっているかと思います。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
やはり活版の部分がロウ引き加工によって質感がなくなってしまいましたが、厚紙にロウ引き加工は紙全体を水につけたような独特な質感になっており、どのような加工を施したか一見わからない仕様になっていて面白いです。
グレイッシュブルーがもっと引き立ってくるかと思っていましたが、沈む方向になってしまったので、見本画像にあったように白など使って浮き出てくるような形でもよかったかもしれません。
《今回のカードの使い方》
郵便物などに同封するポストカード裏にメッセージなど書き込みます。
【スタッフからのコメント】
ロウ引き加工後は、ベタの活版の凹凸部分にはロウが盛られていましたが、ステッチ風パターンの部分は、活版らしい凹凸も感じられる仕上りでした。
選ばれた印刷色が沈むか浮き出るか、イメージが難しく、研究課題となりました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
スタッフより
ロウ引き加工は透け感を生かすことが多いため、封筒やシートなど薄い紙に加工することがほとんどです。 今回は厚みのあるカードに加工することで、紙の質感や色がどのような雰囲気になるのか研究することができました。 印刷色が沈むか浮き出るかは、実際に印刷・加工するまでイメージできなかったので、今後も試してみたいと思います。
今回の企画にご応募いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。