浪漫が詰まった書道用紙の魅力
2017/02/15
書道といえば、子どもの頃に学校で経験した習字の記憶しかない方もいらっしゃるかもしれませんが、大人の習い事として親しんでいる方、または興味を持っている方は多いのではないでしょうか。
今回は、書道で用いられる「紙」にスポットを当ててみます。
仕事も、人との交流も、パソコンやスマートフォンでなんでもできてしまう時代。
手書きで文字を書くことが少なくなったとはいえ、美しい文字に憧れを抱くことは変わらないですよね。
とある「働く女性の習い事ランキング」でも、「書道」や「ペン字」は上位に入っています。
書道でまず目につくのはもちろん文字ですが、書道で用いられている「紙」にもかなり奥深いこだわりがあるのをご存知ですか?今回は書道で使われる「紙」の魅力に迫りたいと思います。
書道は、中国から漢字が伝わったことから始まりました。
漢字は約5000年前に中国で生まれたと言われています。
日本で書が発展したのは、奈良時代に写経が盛んに行われたことがきっかけです。
そして室町時代になると様々な流派が誕生し、床の間に書を飾り、鑑賞することが一般的になりました。
さて、まず書道をしようと思ったらどんな道具を思い浮かべるでしょうか。
準備するべき道具は、硯(すずり)、漢字用の大筆、かな用の小筆、下敷き、筆置き、文鎮、そして紙です。
紙の種類はとても多く、書の芸術的表現には紙が重要な役割を持ちます。
紙が作品の善し悪しを左右するとも言われ、書道家は「どんな紙に書くのか」に最も関心を寄せているようです。
画像上:(Photo AC)
書道で一般的に多く用いられている紙は、大きく分けると日本産の「和紙」と中国産の「唐紙」があります。
唐紙は中国から輸入した「画仙紙(がせんし)」や「竹紙(ちくし)」などがあり、竹、藁、桑などの繊維で作られています。
和紙と比べ墨がにじみやすく、かすれが綺麗に表現できる紙です。
ちなみに、書道用の大きな紙を「画仙紙」と呼びますが、これは日本における総称で、他にも「画箋紙」「画宣紙」「雅宣紙」という漢字があてられます。
中国産の画仙紙は「本画仙(ほんがせん)」と呼ばれています。
紙質の厚さは様々で加工紙もあり、書道専門店に行くといろいろな種類の紙が売っています。
色合いも、真っ白な紙や黄みがかった紙、表面が荒い紙やツルツルの紙など、とても多彩です。
紙のサイズは、小画仙紙(69×138cm)、中画仙紙(84×153cm)、大画仙紙(97×180cm)とあり、小画仙の全判の紙を「全紙」と呼びます。
書道用紙は、この全紙のサイズを基本として、その切り方で様々な大きさにして使用します。
私たちが習字の授業で習う際に学ぶ「半紙」と呼ばれる紙は、33×24cmの大きさで、ほぼB4判です。
書道は書体や筆も様々なので、これだけ紙の種類があると、さらにいろいろな表現方法を試してみたくなりますね。
紙の保存は、直射日光や蛍光灯の光に直接当たらないように注意しましょう。
長期間保存する場合は、防虫剤を入れて保管すると良いそうです。
紙は数年寝かせると書きやすい紙質になり、にじみも綺麗に出ます。
例えば、今書道の紙を購入して大切に保存しておけば、時を経て、自分の子供や孫の世代がその紙を使って素敵な書道作品を仕上げてくれるかもしれません。
そんな浪漫が詰まった世界を想像すると、書道の紙がより奥深く、魅力的に思えてきませんか。
最近は書道をテーマにした漫画や映画などが登場したり、人気書道家による書道パフォーマンスなどがメディアでとりあげられるなど、書に対するイメージの幅も広がり、私たちにとっても身近な存在になってきたように思います。
画像上:(Photo AC)
また、インテリアとして飾ることを目的とした書作品や墨アートなども、Cool JAPANの新インテリアアートとして注目されているようです。
日本で唯一のインテリア書道と墨アート作品の常設販売ギャラリー&スクールをされている「キャレモジ」では、一流書道家の作品をプロデュースし、世界に一つしかないオリジナル作品を販売しています。
自宅だけでなく、ホテルや商業施設などの様々な空間に飾られているそうです。
現代的な空間に日本の伝統文化をインテリアとして取り入れると、とても上品で心が落ち着きそうですね。
2020年の東京オリンピックに向け、異文化交流の手段としてもさらに日本の「書道」へ関心が高まりそうです。
文・杉山 桃子
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参考:
画像協力 キャレモジ http://www.carremoji.jp
書道と習字を「ショドテビキ」 http://shodotebiki.com/a01history.html
書道半紙のサイズについて http://www.condohotelrentalclub.com/
『筆墨硯紙事典』天来書院