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時代と共に変化するぽち袋~歴史と用途の広がりを追う~

2025/01/31

  • ぽち袋

お正月やお祝いの席で、見かける機会の多い「ぽち袋」。さまざまな色や柄で美しく彩られているため、子どもの頃は、中身よりそちらに夢中になった人も多いのではないでしょうか。筆者も、そのうちの一人でした。宝箱代わりにしていたお菓子の空き箱に、貰ったぽち袋を入れ時折出しては眺める、を繰り返していた記憶があります。そんなぽち袋ですが、近年は外国の方向けに、ユニークな使い方もされているようです。今回は、そのような面も含めてぽち袋の世界を覗いてみましょう。

時代と共に変化するぽち袋~歴史と用途の広がりを追う~


そもそも日本において、金封による贈答が一般化したのは明治維新以降だと言われています。それまではモノを贈っていましたが、紙のお金である「紙幣」の登場により金封の贈答が一般化されました。また、紙幣を包む「祝儀袋」や「不祝儀袋」、「ぽち袋」が庶民の間で使われるようになったのも、明治時代以降だと言われています。紙幣を裸のまま渡すのではなく、わざわざ紙で包むのも、古来より日本では「贈る」という行為が「真心を贈る」や「相手の魂や心と深く関わる行為」だと認識されていたためです。礼儀や奥ゆかしさを大切にする、日本人らしい文化だと言えるのではないでしょうか。

ちなみに、「ぽち袋」という名前がつけられた理由は諸説あるようです。例えば、関西弁の「ちょっと」を意味する「ぽちっと(ぽつんと・ぽつりと)」や、フランス人が犬を「プチ(petit:小さくてかわいい)」と呼び、それを聞いた日本人が「ポチ」と聞き間違えたという説もあり、信憑性の高そうな話から「本当かな?」と思わず疑いたくなる話までさまざまです。

時代と共に変化するぽち袋~歴史と用途の広がりを追う~

画像:羽車の「Cotton スノーホワイト」を使用したポチ袋。

ぽち袋の歴史や名前の由来を理解したところで、続いては紙素材とデザインにスポットを当てていきます。まず使われている紙素材ですが、近年はさまざまな種類の紙で作られているようです。例えば、名刺やノートなど多様な印刷物に使われることの多い「上質紙」や、表が半紙のような手触りが特徴の「奉書紙(ほうしょがみ)」、強度がありナチュラルな印象の「クラフト紙」などがあります。また羽車のポチ袋は、コットン(綿)パルプを配合した「Cotton スノーホワイト」と呼ばれるオリジナルの紙素材を主に取り扱っており、柔らかさと上品な質感が特徴です。

そしてデザインも、懐古的なものから近代的なものまで多種多様なぽち袋が存在しています。例えば、江戸時代に流行した浮世絵風のデザイン。なかでも、鈴木春信や喜多川歌麿が描く「美人画」は特に人気がありました。また、「しん板かわりうつし絵」と名づけられたぽち袋は、袋の前面に丸や四角の穴をあけ、奥に紙片(しへん:紙きれ)を入れ上下に動かすと、人やお化けが現れます。このような遊び心のある仕組みは、子どもにも好まれたのではないでしょうか。さらにユニークなものでいうと、現代人も目にしたことのある、「おかめ」や「ひょっとこ」「へのへのもへじ」もデザインとして採用されています。余談ですが、「へのへのもへじ」は、地方によって「へへのもへじ」など書き順が変わるそうです。

今回ご紹介したデザインは、ピエ・ブックスが出版している『ぽち袋』に掲載されていますので、興味が湧いた方はご覧になってみてください。ユニークかつ美しい図案の数々を見ることができ、ポチ袋の文化や歴史にも触れられます。

時代と共に変化するぽち袋~歴史と用途の広がりを追う~

画像:株式会社マルアイの世界各国の「ありがとう」と「ほんのきもち」が描かれたチップ袋
出典:PRTIMES

そして、お正月などのお祝いの席で子どもに渡すもの、というイメージの強いぽち袋ですが、近年は外国人旅行客のお土産としても人気が高まっています。確かに、デザイン性も高く日本を感じられるため、外国の方にも好まれるでしょう。実際に、東京都の有楽町駅に期間限定で設置された「祝儀袋自販機」では、外国人旅行客の購入も多く水引や箔が施されたデザインが人気を集めたそうです。また、このような背景もありインバウンド向けに、各国の言語で「ありがとう」や「ほんのきもち」と書かれ、富士山などのイラストが載っている「チップ袋」なるものも発売されています。外国の方も母国語がプリントされていると嬉しいでしょうし、富士山のような日本らしいデザインも目を引きます。

「チップ袋」という新たな使い方をされ、再び注目を集めているぽち袋。時代に合わせて姿を変えることは大切ですし、外国の方に日本を好きになってもらうきっかけにもなるでしょう。それと同時に、日本の文化として歴史や本来の使い方も次世代に残していきたいですね。もし、ぽち袋を購入する機会がある場合は、相手のことを想像しながら選んでみてください。渡す機会がないという方も、珍しいデザインのぽち袋をコレクションしてみてはいかがでしょうか。子どもの頃の、懐かしい記憶や気持ちが蘇ってくるかもしれません。


文・鶴田有紀


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〈参考文献〉
・『熨斗袋 選ぶ 書く 伝わる』川邊りえこ 著|工作舎
・『ぽち袋』ピエ・ブックス
・インバウンド向けぽち袋『チップ袋』を2024年4月10日(水)に新発売 祝儀袋のお土産品ニーズを受け24種の言語で感謝の気持ちをデザイン|PRTIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000051757.html

 

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