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多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~

2025/08/27

  • 薄葉紙
  • ラッピングペーパー

包装や緩衝材など、多様な使い方ができる「薄葉紙(うすようし)」。名前の通り、薄く透け感のある柔らかい紙です。靴や洋服などを購入した際に、見かけたことのある人も多いのではないでしょうか。今回は、薄葉紙の歴史やデザインなどに光を当てていきます。

多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~


そもそも何故「薄葉紙」と名付けられたかというと、紙の厚さを表しており、「紙の薄い様子=薄様→薄葉」が語源だとされています。そんな薄葉紙の歴史は諸説ありますが、起源となるものが誕生したのは明治時代初期の頃。日本三大和紙のひとつを生み出した高知県で、土佐和紙づくりを行っていた「吉井源太翁(よしいげんたおう)」が、郵便用薄半紙を生み出したのが始まりだと言われています。当時は、封書4匁(もんめ・15グラム)までを3銭で郵送していたため、少しでも郵送負担を軽くするために薄い毛筆書翰紙(もうひつしょかんし)が作られたそうです。その後も時代や技術の発展とともに、文化財の修復や美術品の補修などに用いられる「典具帖紙(てんぐちょうし)」や多様な繊維を組み合わせた「コピー紙」など、用途に合った薄紙が続々と誕生します。

そして、本コラムのテーマである「薄葉紙」という単語が登場するのは、さらに時代が進み現代に近づいた昭和17年頃です。昭和14年に第二次世界大戦による物価上昇を防止する目的で、国が「価格統制令」を発令し和紙もその対象となりました。そのためこの時代は、官庁や政府の許可した価格の製品が市場に並び、昭和15年6月にはそれらの製品であると表示することも義務付けられたのです。この公定価格を裏付けるために規格を表示する必要があり、これまで曖昧になっていた薄葉紙の存在も次第に確立されてゆきます。また15、6年頃には、機械を用いて紙を製造する「機械抄紙(きかいしょうし)」と呼ばれる技術の発達により、薄紙が量産され始めました。これにより、それ以降薄紙は機械を使い製造するものという考え方が強まり、それらの方法で製造された薄紙を「薄葉紙」と呼ぶようになったそうです。

多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~


薄葉紙の歴史を理解したところで、続いては用途についても少し触れていきます。記事の序盤でお伝えした通り、薄葉紙は包装や緩衝材として用いられることが一般的です。しかしその対象は幅広く、服や靴といった私達に馴染みのあるものから文化財のような貴重なものまでさまざまです。なかでも文化財は、一方向のみに裂けるように漉かれた特殊な薄葉紙を使用しています。そして、柔らかさや表面の滑らかさから、土偶や石器などの埋蔵品は勿論、仏像などの大きな物まで包めるため重宝されているそうです。特に質の良い薄葉紙は、長く裂いたり短いもの同士を結んだりして紐として使用することもできます。ちなみに、本コラムを読み文化財の梱包にも興味をもたれた方は、九州産業大学美術館の「学芸道―文化財を守るための所作と技術―」というコンテンツ内で動画を視聴できます。

多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~


最後に、薄葉紙のデザインや使い方に注目しましょう。近年の薄葉紙は、多様なデザインのものが増えているため、季節やイベント、贈る相手の好みなどに合わせて選べるのも魅力です。包装も細部にまでこだわることにより、イベントを盛り上げ贈った相手のことも楽しませてくれるでしょう。きっと、良い思い出として相手の心や記憶に残り続けるはずです。また企業の場合は、イラストだけでなくロゴを印刷することにより、ブランドの世界観をより強く表現できます。購入品の箱を開けロゴ入りの薄葉紙が目に飛び込んできた時、お客様の高揚感も増すでしょう。

そして薄葉紙は、名前の通り薄く柔らかい紙のため形も自由自在に変えられるところが、特徴でありメリットでもあります。一般的に日本では、先述した通り包装や緩衝材として使用することが多いです。一方欧米では以下の写真のように、ペーパーバッグの中に花弁のように重ね合せた薄葉紙を入れる方法もあるようです。何層にも重ねられた薄葉紙が、ブーケのような華やかさを演出してくれます。

多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~

画像:欧米ではペーパーバッグの中に花弁のように重ね合せて華やかさを演出する
引用元 :Chambray Collection - Sugar Paper™ + Target

多様な使い方ができる薄葉紙~その歴史やデザインなどを辿る~

画像:羽車制作事例

製品や文化財を傷や汚れから守るだけでなく、贈り物に華やかさもプラスしてくれる薄葉紙。歴史の面では、毛筆書翰紙が起源という事実に驚いた方もいるのではないでしょうか。このような背景を知ることにより、薄葉紙への印象が変わった人も多いでしょう。また人によっては、薄葉紙をカードケースの布地に使うなどしてリメイクする方もいるようです。ぜひとも、贈り物に使用するだけではなく自分だけの使い方も見つけてみてください。


文・鶴田有紀


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〈参考文献〉
・『薄葉紙一般総論』高橋享 著
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtappij1955/15/5/15_5_298/_pdf
・シガブンシンブン|公益財団法人滋賀県文化財保護協会
https://www.shiga-bunkazai.jp/shigabun-shinbun/recommended-relics/35/

・薄葉紙・ラッピングペーパー|羽車公式サイト
https://haguruma.co.jp/wrapping-paper

 

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