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【企業事例】 完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト

2021/11/11

広島県呉市の下蒲刈島(しもかまがりじま)から瀬戸内を望むレモン農園、中吉屋。ここでは明治23年から長きにわたり品種改良されていない在来種レモンを育ててきました。そんな中吉屋からお客様の参加型プロジェクトとして生まれた「ラッピングプロジェクト」をご紹介します。

【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


天然の在来種レモンは、現代人に必要な栄養素を豊富に含んでいるだけでなく、その栽培方法は実は環境保全にも繋がっていると言います。通常のレモンの2倍以上の大きさで、エグみのない外皮は香りが強く、一般的なレモンと比較すると香りも甘味もその違いは歴然です。この度、そんなレモンを包み、届けるラッピングペーパーが生まれました。中吉屋・5代目園主の北村昂陽様とラッピングペーパーをデザインされた田中誠様のお話から、包むだけではないラッピングペーパーの可能性を探ります。

【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


祖父から引き継いだ想い
北村昂陽様(中吉屋)
「在来種は、無農薬の状況下でも外敵に負けない潜在能力を持っていて、栄養に偏りのある食生活を送ることが多い現代人にとって必要な栄養素を豊富に含んでいます。ただ、その在来種を守り、レモンを生産していくことは容易ではありません。中吉屋では“無肥料”“無農薬” で栽培しているため、気候や環境によって常に変化する植物の様子を細かく観察し、変化を感じる取る必要があります。特に貝殻虫という虫は柑橘の木にとっては天敵となるため、 発生してしまった際には、葉の裏側に付いた貝殻虫の白い巣をひとつひとつ手作業で取り払うという途方もない作業を行います」
 
 

【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


「今でこそ“無農薬”や“オーガニック”という言葉は広く認知されるようになりましたが、中吉屋の先代の園主であり私の祖父の生きた時代は、無農薬で野菜や果物を栽培している農家は少なく、まわりからの理解も得られず、大変な思いを抱えながら農業をしていたと聞いています。そんな祖父の想いを大切に、『ありのままに自然のままに』というコンセプトを引き継いでいるのが今の中吉屋です」


無肥料、無農薬の恩恵
「“無肥料”“無農薬”にこだわることは、身体に良くて美味しいレモンが出来るだけでなく、実は環境保全にも繋がっています。土壌汚染を防ぎ、極力人間の手が加わることを減らすことで、土地には植物が増え、虫が増え、土壌に住む微生物が増えます。そして、微生物が増えることで自然の回復が期待できるのです」
 

【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


お客様参加型の「ラッピングプロジェクト」
「環境問題については、私たち農業、小売業界では過剰包装やフードロス問題がやはり急務ですよね。中吉屋でも何か出来ることはないかと思い、表面に傷が少しあることから商品には出来なかったレモンを使ったお菓子を製造することを考えたこともありました。しかし、今の時代を考えると、それ以前に、まずは物を最小限に抑えることが中吉屋にとってもお客様にとっても必要なことではないかと思ったのです。そこで私たちは、お客様の自主性を促しCraftの精神をベースとした 『ラッピングプロジェクト』を企画しました」

【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


「デザイナー・田中誠さんのお力を借りて制作したラッピングペーパーは、レモンを取り巻くあらゆるシーンで活躍してくれています。レモンを包み保存するシートとして。個包装したレモンケーキなどお菓子を作った際のラッピングシートとして。また、レモンやジャムをプレゼントする際の包装紙に……。もちろん、過剰包装を防ぐ効果もありますが、重要なことはお客様自身でアレンジしたり包装したりしていただくことで、中吉屋にはない面白いアイデアが引き出されること。その自主性を創出することが狙いです。このラッピングのプロジェクトは、お客様と一緒につくる参加型のプロジェクトなのです」


レモン畑から広がるヴィラ構想
「ラッピングプロジェクトと同じく参加型のプロジェクトと言えそうですが、いま中吉屋では小さなヴィラの建設を計画しています。自然豊かな中吉屋の農園の頂に井戸を使った自家水道、自家発電、バイオトイレを併設したいと思っています。緊急時には農園内だけで生活できるようインフラ設備も設けます。中吉屋農園を10拠点まで拡大し、それぞれの拠点にヴィラをひとつずつ建設する。そうして中吉屋の農園が小さな村のようになっていけば良いなと思っています」


デザインについて
優しい線画と余白を生かしたデザインに
VOYAGER 田中 誠様

「中吉屋・北村さんからのリクエストは『お客様が自由に使いたくなるラッピングペーパーを作りたい』というものでした。好きなサイズにカットしたり、包んだり、くしゃっとして箱に詰めたり、用途はお客様次第。お客様の創造意欲をかきたてるようなものを……というお話しでした。普段のデザイン制作では用途やそれを使う人は決まっていて、完成した姿(例えばパッケージなど)を目指してデザインすることがほとんどです。用途が決まっていないものを作る、ということはなかなかありません。ですので、今回は見た目から感じる余白というか、お客様が自由に出来る印象づくりに苦労しましたね」


【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


「レモンの果実と葉を描いた線画は、実は北村さんご自身が描かれたものです。以前にお仕事をご一緒した際に美大出身だというのを聞いておりまして、今回は以前に描かれた作品を使わせていただきました。やはり、実際にレモンを育てている方が描いたものということもあり、線が非常に優しく魅力的ですよね。デザインをする際はその線画の良さをなるべく生かしつつ、サイズ感による見え方と紙の触り心地を検証していきました。ホワイト地にゴールドの組み合わせは、品質の良さを感じさせナチュラルな印象を持たせるようにしています。シンプルな分、様々なものに似合い、様々な人に使ってもらえるように……という想いを込めて作りました」


【企業事例】  完全オーガニックレモン「中吉屋」のラッピングプロジェクト


「たくさんある紙の中から、今回は包むものの形に合わせてきっちり綺麗に包むこともでき、柔らかいものをキャンディーのようにくしゃっとくるむこともできる『薄葉紙(うすようし)』を選びました。この紙の薄さと手触りは“手作り感”をすごく伝えてくれるんですよね。薄いので耐久性が欲しい場合は2枚重ねて使うと、ホワイト地にゴールドの模様が透けて見え、デザインがまた変わって見えます。そんなふうに実際に触ったりしながらお客様も使い方を発見していただけたらと思います。
“ペーパーレス”が推し進められ様々なモノがデジタルに替わっている今、紙モノをデザインする際は、見た目だけでなく例えば印刷・制作方法なども合わせて具体的に提案する機会が増えました。紙は実際に人の手に触れるもの。だからこそ、品質やそこにあるべき作り手の想いを大切にしていきたいと思っています」


取材をさせていただいて
使い方は自由自在。お客様に委ねられたラッピングペーパーは何かを包んだり飾ったりするだけでなく、新しいコミュニケーションや物語も生んでいると思いました。中吉屋さんは今後、食品だけでなくレモンを使ったコスメなども展開されるそう。ラッピングペーパーの活躍の場はこれからますます広がっていきそうです。(企画広報部)



制作例紹介

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楽しみながら包んでもらうラッピングペーパー(薄葉紙)
 
[品名]  オリジナルオーダー薄葉紙
[サイズ] タテ:545㎜ ヨコ:788mm
[紙素材] 薄葉紙 ホワイト 33g(トモエリバーマット)
 *現在紙素材廃番(近似の商品は薄葉紙ホワイト 25g)
[表面]  オフセット印刷1色 印刷色:イエローゴールド(特色)
*印刷面が食品側にならないようにお使いください。

デザイン:VOYAGER 田中誠様 作品提供者:中吉屋株式会社様


制作例(デザインギャラリー)
今回ご紹介した薄葉紙の詳細はこちら

 

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株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

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大阪府堺市の本社工場では封筒生産機と印刷機を中心に70台を超える機械が稼働しています。
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