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【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」

2021/07/20

提携生産者や自社農場で栽培した、環境負荷の少ない農産物を販売する株式会社坂ノ途中。今回は、自社農場で育った自然に還るライ麦からできたストロー「麦わらストロー」の商品開発、またそのパッケージについて、お話を伺いました。

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」


株式会社坂ノ途中は「100年先もつづく、農業を。」というメッセージを掲げ、提携生産者が栽培した農産物の販売をはじめとした、環境負荷の小さい農業を広げるための取り組みをしている企業。自社農場「やまのあいだファーム」の運営も行っており、農場では化学合成農薬や化学肥料を使わない、自然に近いスタイルでの栽培をしています。

そんな自社農場で育った、自然に還る、ライ麦からできたストロー「麦わらストロー」が今回ご紹介するパッケージの商品です。「麦わらストロー」の商品について、また、そのパッケージの素材やデザインにまつわるお話を、株式会社坂ノ途中 商品企画・販促チームの武岡様にお伺いしました。

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」



自社農場で育つ「麦わらストロー」
「『麦わらストロー』の材料となるライ麦を育て始めたのは、退職するスタッフが最後に種を蒔いてくれたから。その種を大切に受け継いで、毎年育てるようになりました。はじめは特に商品化を考えていなかったのですが、レジ袋の有料化などで脱プラが話題になったときに、今ある麦を活かして麦わらストローをつくれるんじゃないかということで、試してみることに。 ストローを選んだのは、ほかの麦製品とは違って編んだりする必要がないので、他の農作業があるなかでも、手軽につくれるのではないかと考えたからです。ーー後でストローづくりも結構大変ということに気づいたのですが......。」

「商品化するまでに、ライ麦とは違う麦も育て、強度や質感を比べてみました。そのなかでも、ライ麦は強くて、てかっとした質感が艶やかできれいだなと思い、選びました。」

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」


「麦わらストローは、夏に麦を刈り取ってから2〜3週間、ゆっくりと自然乾燥させ、1本1本カットし、手間と時間をかけてつくっています。麦の節に合わせてカットしていくので、それぞれ長さや太さが異なります。手軽につくれると考えてはじめたストローでしたが、検品には苦労します。自然のものなので、虫が付いていたり、汚れがあったりするので、1本1本、手作業でストローの中まで確認しています。プラスチックストローのように、何度も使い続けることはできませんが、使い終わったストローは自然に還すことができるんです。」


プラスチックごみを生産しないパッケージ
「パッケージは、農場スタッフと私とで意見を出し合って検討しました。農場でライ麦の種を蒔くところからストローの制作を手がけるスタッフが商品の細部まで一貫して関わることで、自然のうつくしさやおもしろさなど、畑の風景を商品に込めてお届けできると考えています。」

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」


「まず、パッケージに採用する素材には、プラスチックを使わないことに。それは、プラスチックごみを減らすことにつながる「麦わらストロー」を販売するのに、新たなプラスチックは使いたくないなぁと思ったからです。そこで案として挙がったものは、紙袋、紙箱、瓶がありました。」


手間やコスト、企業としてのエコとの付き合い方
暮らしのなかで気軽に使ってもらうために
「瓶はリユースも可能で魅力的ではありますが、梱包時にプラスチック製の緩衝材を使うことがあります。紙箱はコスト面がネックとなりました。麦わらストローを広めたいと考えている一方で、プラスチックストローの方が安価で出回っているのが現状です。日々の暮らしのなかで、いつでも使ってもらえるように、パッケージのコストをできるだけ抑えて、多くのひとに手に取ってもらいたいと思い、最終的に紙袋に決めました。」

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」


「強度もありプラスチックは便利ですが、お客さまが商品を手に取ったときに感じる温かみは、紙ならではのものだと思います。」

思うことがエコへの第一歩
「自然に対する畏敬の気持ちを持っていれば、その思いが日々の行動につながると考えています。できるときもあれば、できないときもある。でも、その根っこにある一人ひとりの思いが大事なのかなぁと思ったりしています。」



デザインについて
パッケージデザイン・紙素材選びからエコを考える
「当初は蝋引きの紙の風合い・中身が透けてみえる所が気に入り、検討していましたが、コスト面や、麦のイラストを生かすこと、紙を漂白していないためエコである、ということをふまえて、クラフトの紙袋を選びました。パッケージの麦のイラストは、農場スタッフが描いています。畑で見る麦は、黄や緑、うすピンクなど、さまざまな色が重なっているようにうつります。彼女が畑で感じた麦の繊細な色合いを、フルカラー(オフセット印刷)でクラフト紙に印刷し表現することができました。」

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」

【企業事例】ライ麦からつくる「麦わらストロー」



取材をさせていただいて
今回お話をお伺いし、既にプラスチックで販売されている安価な商品を、環境に配慮した商品へとシフトさせることの難しさを感じました。さらに、日常使いしていただくための商品は、購入が一度きりの商品よりもさらにコストを意識しなければならず、パッケージは当然のようにコスト重視になります。 そんな中でも、「麦わらストロー」のパッケージでは、環境に配慮した素材を選択しつつ、商品を手にとった時の温かみや、紙素材と麦の繊細で複雑な色合いを優しくナチュラルなデザインを表現されていました。 また、今回の「麦わらストロー」についてお伺いしていくなかで、自社農場での試行錯誤や畑を耕さないスタイルなど、”環境への配慮“ のひとつ上の段階の ”自然との共存” という印象を強く受けました。株式会社坂ノ途中さんは、100年先もつづく農業のかたちをつくりたい、そして持続可能な社会にたどり着きたいと考えています。企業の目指すビジョンが商品及びそのパッケージに表現されていることが大切なことだと感じました。(株式会社羽車 企画広報部)



制作例紹介

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麦わらストローの袋
[商品]  平袋90×235 未晒クラフト 70g
[サイズ] 90×235mm
[表面]  オフセット印刷4色 印刷色:プロセスシアン(基本色)・プロセスマゼンタ(基本色)・プロセスイエロー(基本色)・ホワイト(特色)
[裏面]  オフセット印刷1色 印刷色:ダークブラウン(基本色)

*未晒クラフトは、自然な本来のパルプの色をそのまま活かした紙。漂白をしていないため、環境負荷の少ない紙素材です。
デザイン・作品提供者:株式会社坂ノ途中様


制作例(デザインギャラリー)
今回ご紹介したパッケージの詳細はこちら

 

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株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

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大阪府堺市の本社工場では封筒生産機と印刷機を中心に70台を超える機械が稼働しています。
人と地球環境に優しく、 安心してお使いいただける魅力的な商品をご提供します。

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