第18回 箔押しのアミ点(写真)加工
モニター結果発表
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今回の企画内容
今回の研究では写真データをご用意いただき、箔押し加工のカードを作ります。
第15回の研究で行った 活版印刷での写真表現での写真表現を、今回は箔押し加工にて行います。
箔押し加工では、写真のような繊細なデザインの場合、細かな部分の箔が抜け切らず不向きです。
不向きではありますが、写真データを加工することによって、箔の良さと写真の雰囲気をどこまで表現できるかを研究します。(上の画像について)
左:写真の元画像をコピー機でプリントアウトしたもの
右:写真をPhotoshopで45線に加工して箔押し加工したもの
紙 Cotton スノーホワイト
箔押し加工 箔色シルバー
それでは、今回モニターになっていただいた3名の方の作品を紹介します。 -
モニター LLPアメフラシ様の作品
紙 :ボード紙グレー 450g
加工:箔押し加工
箔色:メタリックレッド
左:写真をPhotoshopで45線に加工して箔押し加工
右:写真をPhotoshopで25線に加工して箔押し加工【LLPアメフラシ様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
廃工場を手作りでリノベーションするプロジェクトのプロモーションカード。
美大出身者のグループが主催するプロジェクトなので、アートを感じられるものにしたいと思いました。
使用した画像は、工場内の壁面を陶片で敷き詰めたモザイクの一部分に、手書きのテクスチャーを加えた文字を重ねたものです。廃工場を象徴しながらも、変化や進化を感じられるモチーフとして選びました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
届いた箱からカードを取り出した時の最初の印象は「ロック!!」でした。
感触
ザラザラした灰色のクラフト紙の上にテキスチャー加工された陶片と赤いロゴが混じり合い目を引きつけるようなデザインに仕上がったと感じました。
45線と25線を比較
アミ点加工の粗さによって見え方や感じ方が大きく変わると思いました。
45線の方は陶片がくっきり見えるので広くプロモーションカードとして使用でき、25線の方はアート作品に近いので、渡す相手や状況によってアミ点の粗さを使い分けたいと思います。
文字と画像の質感の違い
文字部分の凹感と較べると、画像の部分がフラットに見えてしまい、アミ点画像の箔押しの難しさを感じました。
凹感を出すなら、アミ点を45線より細かくするか、画像を切り抜くなどの工夫が必要かもしれません。
《今回のカードの使い方》
美術大学の教授やアート・デザイン関係者や知人へのプロジェクトの宣伝に使いたいと思います。左上:作品に使用した画像
【スタッフからのコメント】
紙はボード紙グレー450g、箔色はメタリックレッドを選ばれました。
画像の線数は45線と25線のデータをご用意いただきました。
線数の違いが大きく感じられた作品でした。
25線の作品はアート作品のような大胆さがありますが、画像のかすれた部分が細かな箔で再現されているのが印象的でした。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター 熊谷 杏里様の作品
紙 :Cotton スノーホワイト 348.8g
加工:箔押し加工
箔色:シルバー
左:写真をPhotoshopで45線に加工して箔押し加工
右:写真をPhotoshopで30線に加工して箔押し加工
デザインした方のお名前:中澤祐司様【熊谷 杏里様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
珍しい箔の網点加工を使って、ジュエリーの煌めきを表現できればと思いました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
思っていた以上に細かい網点の部分も箔押し加工がされていて、 ここまで細かい箔押し加工も出来るのだということを知りました。
《今回のカードの使い方》
ブランドの紹介をする際などに配りたいと思います。左上:作品に使用した画像
【スタッフからのコメント】
紙はCotton スノーホワイト 348.8g、箔色はシルバーを選ばれました。
画像の線数は45線と30線のデータをご用意いただきました。
デザイン・紙・箔色がマッチした作品でした。
45線の作品は、写真のイメージを保ちつつ繊細さや華やかさもあり、美しい表現方法だと感じました。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター dot & line 吹田 ちひろ様の作品
紙 :ボード紙グレー 450g
加工:箔押し加工
箔色:クリア(透明)
左:写真をPhotoshopで45線に加工して箔押し加工
右:写真をPhotoshopで25線に加工して箔押し加工【dot & line 吹田 ちひろ様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
「情景を質感として付与する」をコンセプトに思案しました。
街灯りに揺らぐ川面、連ねた紙束、にじむ夜景 異なるそれぞれの光が、どの様な抽象性で転写されるのか楽しみに制作いたしました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
一見すると、よく見えず 無機的な印象ですが 光の当て方で、浮かび上がる質感があり興味深い仕上がりになりました。
視覚に頼りがちな現代、情景を視覚ではなく質感として転写する表現があっても面白いかなと感じました。
《今回のカードの使い方》
取引先への加工見本や、知り合いのデザイナーなどにサンプルとして渡しています。
左上:分解前カラーのイメージ
【スタッフからのコメント】
紙はボード紙グレー450g、箔色はクリア(透明)を選ばれました。
画像の線数は45線と25線のデータをご用意いただきました。
ボード紙グレー×クリア箔のめずらしい組み合わせです。
何が描かれているのか、光をかざすと時々見え、そして隠れてしまう。手にするとしばらく眺めてしまうようなアートな作品でした。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
スタッフより
箔押しのアミ点(写真)加工ということで、3つのモニター作品を各2種類の線数にて仕上げました。
以前に研究した「 第15回 活版印刷のアミ点(写真)プリント 」の箔押し加工バージョンです。
活版印刷に比べて箔押し加工の方が繊細なアミ点が難しいと感じていましたが、結果としては、デザインの雰囲気は表現できていると思いました。
活版印刷の時と同様に、印刷データの原稿と仕上がった作品とを見比べると、アミ点が少ない(濃度が薄い)部分は、表現できていない(アミ点が消えてしまっている)部分があったり、アミ点が多い(濃度が濃い)部分は、箔が抜けきっていないなどがありましたが、箔特有の質感は、他の印刷や加工とは違う魅力があると改めて感じました。
※画像をアミ点にする手順はこちらです。どうぞご参考ください。
画像をアミ点にする手順
今回の企画にご応募いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。