第23回 濃色の紙にデジタル印刷ホワイト+フルカラー(のせ)
モニター結果発表
-
今回の企画内容
今回の研究は、濃い色の紙にデジタル印刷ホワイトを施し、その上にフルカラー印刷をのせる検証を行います。
通常、濃い色の紙に印刷すると紙色の影響を受けるため、カラーの表現が難しくなります。
デジタル印刷ホワイトを下地に印刷することによって、どのような表現ができるか検証していきたいと思います。
作成するものはスリーブ箱です。濃い色のパッケージは高級感がありギフト箱として人気です。
(左の画像について) (下の画像について)
上:濃い色の紙にデジタル印刷ホワイト+フルカラー(のせ)をしたもの
中:色の違う紙素材にデジタル印刷ホワイトを施したもの
下:作成するスリーブ箱の形状 -
モニター 寺田マユミ様の作品
【寺田マユミ様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
民芸品的なデザインでマッチ箱のようなイメージの小箱
《実際に作品をご覧いただいた感想》
「真っ白」の仕上がりを見たいと考えました。やはり濃い紙色に印刷をのせる場合は「真っ白」を目指すのは難しく、下地の白をもう一度重ねると改善されるかも?とも思いました。
色の部分はある程度綺麗な発色が出来そうですが、紙色の作用も受けるのでくすむことを計算してイメージするとよいかもしれません。
作画の際に、紙色レイヤーを下地にひいて、デザイン部分の不透明度を少し下げて(7〜80%?)描画すると仕上がりをイメージしながらデータを作成(最後に不透明度を戻して入稿データにして)すると良いのかなと思いました。
《今回のカードの使い方》
極小ながらきちんと機能する文具を揃えてセットし小さなお道具箱「豆具箱」として販売する試みをしてみたいと考えました。
【スタッフからのコメント】
赤色と金太郎のイラストが印象的でキャッチーなパッケージです。
カラフルで懐かしい色合いが文具にぴったりで、和やかな印象です。
肌のホワイト部分は下地が透けていてピンクっぽい肌色になっています。
下から2枚目の写真は、「ホワイト+フルカラー(ぬき)」で作成したものも掲載しています。
ホワイト部分は透けてしまいますが、(のせ)にするとフルカラーの再現性は高くなることがわかります。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター chocolate. 桂川紗綾香様の作品
【chocolate. 桂川紗綾香様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
絵画のように飾れるBOX
《実際に作品をご覧いただいた感想》
白インクに4色印刷を乗せた部分は想像していたよりも色が沈みましたが、それによって大人っぽい落ち着いた印象に仕上がったのかなと思います。
特色や箔押し印刷とはまた違った仕上がりなので、印刷表現の引き出しがひとつ増えました。
コストもオフセット印刷より抑えられるということなので、今後、小ロットのパッケージや冊子を制作する際に利用したいです。
《今回のカードの使い方》
会社のデスクで名刺の保管ケースとして使います。
【スタッフからのコメント】
全面柄と卓上のシーンイラストがモダンな印象の作品です。
印刷部分のツヤ感も不思議な魅力があり引き込まれます。
下から2枚目の写真は、「ホワイト+フルカラー(ぬき)」で作成したものも掲載しています。
ホワイト部分は少し透けますが、(のせ)にすることで、フルカラーの再現性は高くなることがわかります。
カップは淡めのグリーン、花瓶は水色を重ねていますが(印刷データの色は一番下の画像参照)下地の赤の影響を受けてシックな色合いに仕上がっています。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
モニター nakineko様の作品
【nakineko様からの感想】
《今回のデザインのコンセプト》
手仕事の布作品を入れることを考えていたので、カッチリし過ぎない版画のような雰囲気のデザインにしたいと思いました。そこで版をイメージして、白と赤の2色をメインにデザインすることにしました。
《実際に作品をご覧いただいた感想》
仕上がりはとても気に入っているのですが、実験的な試みという点で考えると、シルクスクリーンの版のズレのような表現をもっと広範囲に施せばよかったと思いました。
側面のハナミズキの赤い実はそういう要素を一部持たせたのですが、表現として面白そうでした。
また、ちょっと意外だったのがホワイトにのせた赤色はドットが見えていることでした。(それがほんのりノスタルジックな雰囲気に見えて、より一層シルクスクリーンぽいデザインにすればよかったなとも。)
ボード紙に印刷されたホワイトは角度によっては一瞬テカっと見えるものの、基本的には紙の素朴な質感を感じさせてくれてよかったです。
ぽってりとインクがのっているというよりは、紙の凹凸に合わせてしっかりインクがのるところと薄くなるところがあり、味のある表情だと思いました。
そこに赤を広くのせた場合どういう表情になったのかも気になり、もう少し広い面積でホワイトにフルカラーをのせてみればよかったなと感じています。
《今回のカードの使い方》
作家として今年が10周年なので、新作のラッピングに使用しようと思っています。今年は数年ぶりにイベントにも出展予定なので、ディスプレイの一部としても活躍してもらう予定です。
【スタッフからのコメント】
イラストと紙の質感で温かみが感じられる作品です。側面に入った小花柄も印象的です。
ポイントカラーの赤はホワイトの下地を入れた部分とそうでない部分で濃淡があり 作品に絶妙な奥行きを出していますね。
下から2枚目の写真は、「ホワイト+フルカラー(ぬき)」で作成したものも掲載しています。
このたびはこの企画に賛同してご協力をいただき、ありがとうございました。 -
スタッフより
デジタル印刷ホワイト+フルカラー(のせ)をテーマに、3つのモニター作品を仕上げました。
デジタル印刷ホワイトは、下地が少し透けて見えます。
フルカラーをのせた部分も紙色の影響をうけた印象になります。
その色のくすみや影響をうまく使えると良い印刷物ができるなと実感しました。
またデジタル印刷のツヤ感も紙素材のマットな感じと変化が出て、特徴のひとつとして活かせると感じます。
今回の企画にご応募いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。