企業の暑中見舞い ~顧客の心に届けたい~
2011/08/08
夏の季節のご挨拶状、暑中・残暑見舞い。
暑い時期にお世話になっている方へのご挨拶と健康を気遣うこの習慣は今なお残っています。
しかしながら、年賀状と比べると発行枚数も少ないのが現状です。
今回は、この夏の季節のご挨拶状について、今の現状と動向など企業編・個人編と2回に分けて考えてみます。
暑中見舞いのはじまり
梅雨が明け、キラキラとした初夏の日差しが日に日に増すこの頃。
暑中見舞いを受け取る方も増えて来たのではないでしょうか。
一般的に暑中見舞いは小暑(7月7日)から立秋(8月8日)の前日までに送るべきとされ、まさに今がシーズンと言えます。
暑さの中にあるお互いを気遣うこの風習はいつ頃生まれたのでしょう。
その歴史は江戸時代にまで遡ります。
古来日本では一年をお正月とお盆の二期に分けて捉えていました。人々は、贈答品を持ち挨拶周りをすることで、相手を気遣いその「期の感謝も行っていたのです。
なんと1年かけて親戚やお世話になった方への挨拶周りをする人もいれば、遠方で訪れることのできない相手には飛脚便まで使って挨拶の品を送る人までいたとか。
そして明治39年に年賀郵便の制度が開始されると、遠方の方にも気軽に挨拶状を送ることが出来ることから年賀状が爆発的に広まったと言われています。
一方、暑中見舞いが習慣化したのは大正時代になってからだそうです。
こうして1年の節目とされた正月とお盆の挨拶周りは、郵便制度の発達と共に年賀状と暑中見舞いへと形を変えていったのです。
ちなみにかもめ~るという呼び名が使用されたのは昭和61年からであり、正しくは「夏のおたより郵便葉書」と呼ぶそうです。
これもなかなか風情がありますね。
企業の暑中見舞いは進化の時代
このように古くから私たち日本人の生活に定着している暑中見舞いですが、現在のビジネスシーンにおいてはどのような位置付けとなっているのでしょう。
20-30代の会社員男女20人に「仕事上、暑中見舞いを出しますか?もらいますか?」とヒアリングしたところ、次のような回答が圧倒的でした。
「暑中見舞いは出すとすればEメールが中心だが、取引先からDMを兼ねた挨拶ハガキをもらうことはある。
ビジネスの現場だけに、DMが主目的になるのは当然の結果かもしれません。
これは、日本郵便の「かもめ~る」の発行枚数に関する過去5年間のデータです。
現在国内においては暑中見舞いハガキとしては個人・企業問わず半分以上がかもめ~るを使用していると言われていますので企業の暑中見舞いの実態を探る手掛かりにはなると考えられます。
2007年 2億3000万枚
2008年 2億1300万枚
2009年 2億1282万枚 賞金付きかもめ~る販売開始。
2010年 2億2299万枚 法人向けサービス「かもめタウン」試験運用開始
2011年 2億5600万枚 かもめタウンサービスの拡充。震災復興支援ハガキの販売
このように、意外にも2010年を境に増加に転じているのです。
日本郵便のご担当者の話では、「1つには人気キャラクターを使用するバージョンなど、かもめ~るのバリエーションが広がっていること。
特に今年は震災復興支援ハガキの販売が要因としては大きい。」とのことでした。
なお2010年に開始された「かもめタウン」とは、日本郵便が提供する法人向けのマーケティングサービスです。
企業が、希望エリアを指定するだけで、宛名リストを作成しなくてもポスティングを代行してくれたり、オリジナルのかもめ~る作成をサポートしてくれたりと、細やかなサービスを提供しています。
中には、かもめ~るのくじ番号を、自社のプロモーションにうまく組み込み、新規顧客の誘導に成功するなど、エリア・マーケティングとして活用している会社もあるとか。
この「かもめタウン」はサービスを更に拡充して今年も継続していることから、法人利用も増加していることが推察されます。
一方で企業には、「特別なお客様へ特別な暑中見舞いを送りたい」というニーズも存在します。
実際にウィングド・ウィール オンラインショップのお客様の中にも、「上顧客と一般客向けに封書とハガキを使い分けたい」という方がいらっしゃいます。
一般的に暑中見舞いはハガキのスタイルですが、上顧客向けにはよりフォーマル感を演出するため、カードと封書のスタイルで作成する事例も増えているようです。
中には活版印刷を用いて少しレトロな演出をするなどこだわりも様々。
このように、暑中見舞いを利用する企業のニーズもより細分化していることが分かります。
暑中見舞いに込めるエコ・メッセージ
ある若手広告代理店マンからはこのような話が聞かれました。
「今年の夏は節電がキーワード。
普段通りのEメールによる暑中見舞いやDMよりも、ハガキや封書でお客様にコンタクトすること自体が「エコ」な印象を与え、企業のイメージアップに一役買うかもしれません。
以前あるプロデューサーが仕掛けたエコイベントの企画で蓄光インクを使用したDMというのがありました。
電気を消さないと読むことが出来ないんです。
これは節電というメッセージも伝えられるし、この夏も活用できるアイデアですね。
その他、自社のクールビズ・スタイルや節電作戦について紹介するなど、相手を気遣う一言を添えるだけで、例年よりも、一層心に届く暑中見舞いとなるのではないでしょうか。
より「個」が大切な時代に
このように、企業の暑中見舞いは静かな変革の時代を迎えているようです。
Eメールの出現により一度はその存在を脅かされたかに見えますが、新たな市場ニーズを捉えることで発展していることがわかりました。
暑中見舞いを利用する企業に1つ共通していることは、いずれも顧客の心により強くアピールしたいということだと思います。
日々私たちのパソコンには様々な会社からのDMが山積み。
しかし特別な封書によるものや、ユニークなスタイルの暑中見舞いは、たとえ内容がDMであってもやはり嬉しいものです。
企業の暑中見舞いも、まさに一工夫したコミュニケーションツールと言えるのかもしれません。
羽車企画広報部編集
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