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素材や表現技法から見る絵本の世界~広がり続ける絵本の可能性~【後編】

2024/09/12

  • 絵本

前編では、絵本の歴史に焦点を当ててご紹介しました。時代によって姿や物語の内容が変わるため、とても興味深いと感じた人もいるのではないでしょうか。後編となる今回は、用いられている素材や表現技法などから、絵本の魅力に触れていきます。

素材や表現技法から見る絵本の世界~広がり続ける絵本の可能性~【後編】


まずは、絵本を構成している「各部位」に注目してみましょう。絵本の各部位には、下記のように名前がつけられています。

素材や表現技法から見る絵本の世界~広がり続ける絵本の可能性~【後編】

引用元:絵本製作ミニ知識|絵本プレス
https://ehonpress.com/ehon.html

本のタイトルや著者名が書いてある部分が「背」であり、その右隣が「のど」です。本の上部は「天」、底は「地」と呼ばれています。そして、本の定価や発行所、発行日、参考文献などが記載されいる部位を「奥付」といい、ここは出版社によって多少異なります。本の顔や保護の役割も担う「表紙」の反対側には「裏表紙」があり、物語が記載されている部位は「本文(束)」または「本紙」と呼ばれています。表紙や本文などは、知っている方も多いのではないでしょうか。

そして、その本文と表紙の間にあるのが「見返し」です。絵本の見返しには、イラストや物語のカットが載せられることも珍しくありません。例えば、世界的ベストセラー絵本である『はらぺこあおむし』(偕成社)の見返しは、穴あけパンチでいくつもの穴をあけたカラフルな紙を、コラージュしたようなデザイン が特徴です。その他にも、『こねこのぴっち』(岩波書店)の見返し には、鮮やかな黄色をベースに毛糸玉で遊ぶ沢山のぴっちが描かれています。とても可愛らしいため、気になる方は書店や図書館で手にとってみてください。

余談ですが、絵本作りにおいて「ページをめくる」という動作が重要視されていることをご存じでしょうか。そのため、めくり方によってページの作りも変わり、登場人物や絵柄がページの進む方向へ動いていくように描かれています。

素材や表現技法から見る絵本の世界~広がり続ける絵本の可能性~【後編】


絵本(本)の部位名称を理解したところで、続いては「紙素材」について見ていきましょう。絵本の本文に使用される紙は主に、表面にコーティング加工が施されカラー印刷時の鮮やかさが増す「コート紙」や、カタログやパンフレットにも使われることの多い「マット紙」、コピー用紙やノートなどにも使われている「上質紙」、クリーム色が特徴で文集などに使われる「ラフクリーム」です。

そして表紙は、ボートブックとハードカバー(上製本)、ソフトカバー(並製本)の3つに分かれます。あまり聞き馴染みのないボートブックですが、全体に厚紙を使い、赤ちゃんや幼児を対象とした本です。ハードカバーは、ボール芯の板紙に表紙素材として印刷用紙、布クロスやレザークロスなどを貼りつけます。一方ソフトカバーには、表紙用の印刷紙として上質紙やコート紙、マット紙、白色で両面につやのある「アイベスト」などが使われています。

素材や表現技法から見る絵本の世界~広がり続ける絵本の可能性~【後編】


そして、絵本を作る際に用いる表現技法にも焦点を当ててみましょう。「パラパラ絵本」や「版画」のように古くからある技法の他にも、近年はさまざまな画材を使い表現する絵本も増えています。画材によって、それぞれの個性が光るユニークな作品に仕上がるところも人気の秘密でしょう。種類も、水彩やアクリル絵の具、色鉛筆にパステルと定番のものから、コラージュや布、写真と意外性の高い画材も見かけるようになりました。さらに、デジタル技術を駆使した絵本も登場しており、ますます絵本の可能性が広がっています。

このような表現技法の多様化もひとつの要因となり、絵本市場は少しずつ拡大しています。それは数字にも表れていて、2013年が294億円であったのに対して2021年には353億円まで成長 しました。書店に足を運ぶと、絵本や児童書コーナーの広さに驚いた経験のある方もいるのではないでしょうか。そして近年は、対象も子どものみならず大人を意識した本も増えている ようです。きっと、懐かしい物語に誘われ手に取る人もいれば、美しい装丁に惹かれ集める人もいるでしょう。デジタル化が進む現代において、多様な魅力をもつアナログな絵本は年齢問わず必要な物なのかもしれません。

また少子化と言われている現代では、赤ちゃんが絵本に触れるきっかけづくりのひとつとして、「ブックスタート」を行う自治体も増えています。ブックスタートとは、0歳児健診などの際に、赤ちゃんに「絵本」と読み聞かせを通して「絵本の楽しい体験」をプレゼントする取り組みです。1992年にイギリスのバーミンガム市で始まり 、日本では2001年から スタートしました。現在国内には1,741の自治体が存在しますが、2024年8月31日時点で1,115の自治体が 実施しています。このような取り組みも絵本需要の高まりにつながり、好循環を生み出しているようです。

赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層に愛される絵本の需要は、今後も高まっていくでしょう。もし、「絵本に興味はあるけれど、何を選んでよいのかわからない」と思っている方がいるのであれば、子どもの頃にお気に入りだった作品を探してみてください。きっと、あの頃とはまた違った発見があり楽しさを感じられるでしょう。


文・鶴田有紀


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〈画像提供〉
絵本プレス
https://ehonpress.com/
〈参考文献〉
・『プロの現場から学ぶ!絵本つくりかた』つるみ ゆき著|技術評論社
・絵本製作ミニ知識|絵本プレス
https://ehonpress.com/
・ブックスタートとは|Bookstart
https://www.bookstart.or.jp/

 

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