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コラム「紙と生活」

引札からチラシへ~日本の文明開化と広告~(前編)

2022/02/28

  • 引札、チラシ

新聞やポスティングなどで見かけるチラシは、生活の情報源として今も欠かせないアイテムです。チラシの原点ともいえるのが、「引札」と呼ばれる1枚摺りの紙。江戸時代に登場し、1色刷りから多色刷りまでさまざまなデザインのものがつくられていました。 今回は引札、チラシの歴史をたどります。

引札からチラシへ~日本の文明開化と広告~(前編)

画像:画像:ある呉服屋の引札。「現金掛け値なし」とは、越後屋を倣っての戦略か。
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム
(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/kyohaku/A%E7%94%B2798-195?locale=ja)

日本で印刷が広まったのは、飛鳥時代、聖徳太子による「十七条憲法」のころにまでさかのぼるといわれます。鎌倉時代には、紙、インク、原版を使った初めての大量生産品ともいえる「賦算の札」がつくられました。

当時、時宗の開祖である一遍上人が「南無阿弥陀仏 決定往生 六十万人」と書かれた賦算の札をつくり、広く庶民に配り歩いたのだそう。その数何と60万枚ともいわれています。(宗教広告を現代でいう広告と同一で考えるにはさまざまな見解があります。)

現在のチラシ広告の原点としてよく挙げられるのは、江戸時代1683年、新築移転時に越後屋呉服店(現在の三越)が江戸府内全域へ配った「引札」。当時50~60万枚も配られ、配布された当月には前月対比60%もの売上アップを果たしたとの記録が残っています。

当時の引札には「現金安売掛値なし」の文言が。年2回の節季払いという掛売り商法が一般的な時代に、新商法を打ち出し引札で周知するという斬新な手法が庶民の心をつかんだのでしょう。

引札からチラシへ~日本の文明開化と広告~(前編)

画像:当時芝居の宣伝に使われたのであろう、江戸時代の引札。
出典:猿芝居「當ル三月中西より浅草御境内奥山襲興行仕時間」「勝見鶴之助・勝見小吉・勝見花之助」
歌川芳艶/1860年3月/パブリックドメイン

そもそも、なぜ引札と呼ばれるのでしょうか?これには、お客を「ひく」、お客を店に「ひっぱってくる」という意味が込められているのだとか。また、「ひく」は「配る」を意味することから「配る札」ということで名づけられたともいわれています。

江戸時代には、引札は広告媒体として広く使われていたようです。紙が非常に高価なものだった奈良時代には、その代替品として木簡が使われていました。一方で江戸時代には、格式を重んじる厚手の和紙から、より薄手で気軽に使いやすい和紙が登場。紙の製造コストが安くなり、使いやすくなったことも引札の発展に関係しているのでしょう。

引札からチラシへ~日本の文明開化と広告~(前編)

画像:美人と化粧品。「最新流行」の文字が目を引きます。
出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム
(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/kyohaku/A%E7%94%B2798-102?locale=ja)

引札が登場した初期は、1色、2色で刷られたものが多くありました。その後、浮世絵の衰退期に合わせ、どんどん色鮮やかな引札が登場します。商品名や広告文、屋号などが書かれた一般的な引札から、木製看板のような紙看板、歌舞伎などの興行演目付きのものまでつくられました。

このころ、日本のコピーライター第一号とも称される平賀源内が登場します。有名なのは「土用の丑の日は鰻の日」でしょう。また、商売が失敗続きの町人、兵助に泣きつかれた際には歯磨き粉の製造販売方法を伝授。「箱入り歯磨き 漱石香」発売時の引札を書いて大きな評判となり、画期的なアイデアマンとして大活躍します。

引札という広告媒体の登場によって、当時の版元・絵師・作家は、それぞれ現代のプロデューサー・デザイナー・コピーライターのような役割を担っていたのかもしれませんね。

中編・後編では、正月用引札をはじめ、さまざまな種類の引札をご紹介します。


文・杉本友美

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参考文献:
『広告で見る江戸時代』中田節子 著・林美和 監修/角川書店
『江戸・明治のチラシ広告 大阪の引札・絵びら』大阪引札研究会 編/東方出版
『ものと人間の文化史130 広告』八巻俊雄/法政大学出版局
『明治・大正の広告メディア<正月用引札>が語るもの』熊倉一紗/吉川弘文館
『最新業界の常識 よくわかる広告業界』伊東裕貴 編著/日本実業出版社


引札からチラシへ~日本の文明開化と広告~(中編)

 

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